年々社会問題化してきている「空き家の増加」について、実家を相続したが住む人がいない・転勤が長くなりマイホームを手放さなければならないなど、空き家の処分に困っている方も多いかと思います。空き家は処分せず放置していることで不動産価値も下がり、コストだけがかかり続けてしまうため早期売却が望ましいです。
そこで今回、空き家を売却したいと考えている方や今後のために知っておきたい!という方に売却の方法や流れ、その他空き家売却時に理解しておきべきポイントなどを紹介していきます。
目次
空き家を売却するための3つの方法
空き家を売却する際は、大まかに以下3つの方法が考えられます。
中古住宅または古屋付き土地として売却
一般的に木造住宅だと築20年を超えると不動産価値がなくなるとされています。しかし、築年数だけでなくメンテナンスなどをしっかり行っている優良物件で、人が住める状態であれば築20年を過ぎていても【中古物件】として売却することが可能です。
しかし築年数が古く、家が劣化し人が住める状態でなくなってしまった物件でも【古屋付き土地】として売り出す方法もあります。「古屋」とは劣化がひどく人が住めない状態の家を指します。建物はあるけれど人が住むための住宅としては使えないため、古屋付き土地はあくまでも「土地」に分類されるのが中古物件として売り出すときとの大きな違いです。
解体して更地として売却
空き家になっている土地は、建物を解体して更地として売る方法があります。
土地を探している人にとっては解体・撤去の手間や費用をかけずにすぐに家を建てることができるため、購入意欲が湧きやすいそうです。また「埋没物があるのでは…」といった不安を持たれる方もいますが、そういった不安や売主側の契約不適合責任を問われる心配を解消できるのもメリットです。
ただし更地で売り出すには解体費用などが掛かり、かかる費用を回収するために市場価格より高く設定すると買い手が見つからない恐れもあります。更地にしたからといって必ず買い手が見つかるとも限らないからです。また更地にすることで長期間売れなかった場合は、固定資産税が上がり維持費が高くなる可能性もでてくるため注意が必要です。
不動産会社に買い取ってもらう
リノベーションして再販する、または更地にして土地として売却をするといった目的で、不動産会社が空き家を買取してくれる場合もあります。買取の場合、査定価格に納得できれば早ければ約1週間ほどで現金化できる可能性があることがメリットです。
しかし買取の場合、リフォームや建物の解体作業にかかる費用を折り込む必要があるため、仲介による売却よりも価格が安くなりがちです。また買い取っても売却できる見込みのない場合は、そもそも買取してもらえない可能性もあるのが気をつけておきたいポイントです。
早期売却するべき理由
空き家はできるだけ早く売却したほうがいい、とされています。以下3つの理由を確認していきましょう。
所有している間は維持管理費がかかる
空き家は所有している限り、様々な維持管理費が発生してしまいます。例えば固定資産税・都市計画税などは毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。空き家に住んでいるかどうか、ではなく「所有している限りは支払い義務が発生する」からです。
また劣化を防いで家の資産価値を守る場合には、定期的に空き家のメンテナンスを行う必要もあります。外壁の塗装や周辺の掃除、室内の換気も大切なので手間と費用がかかります。
近隣に迷惑がかかる恐れがある
人が住んでいない空き家となった場合、害虫や害獣の住処となってしまう危険性が伴います。また庭付きの場合だと雑草などのお手入れをせず放置してしまうことで、不衛生な環境になると悪臭の発生や近隣エリアの見た目の印象にも響くため近隣に迷惑をかけてしまう結果になることも。
家の劣化が進むと、台風などの天災で建物が崩壊したり屋根材が飛散した場合に近隣住民に被害・迷惑がかかる可能性も考えられます。場合によっては近隣住民から「損害賠償請求」されるような大問題につながる可能性もあるため注意する必要があります。
特定空き家に指定される可能性がある
空き家を放置していると、自治体から【特定空き家】に指定される恐れがあります。特定空き家に指定されると自治体から助言・指導・勧告などを受け、対処しなかった場合は最終的に行政代執行によって解体・退去させられることも。その際に発生する費用はすべて所有者の負担とされてしまうため、特定空き家と指定される前に売却する必要があります。
空き家売却時の流れ
空き家を売却する際の一般的な流れは以下です。
Step1 | 名義変更されているかを確認する |
Step2 | 不動産会社の査定を受ける |
Step3 | 媒介契約を締結する |
Step4 | 売却活動を行う |
Step5 | 売買契約を締結する |
Step6 | 決済・引き渡しを行う |
Step7 | 確定申告を行う |
空き家の売却に発生する税金や諸費用
空き家売却時に発生する主な費用が以下になります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
- 仲介手数料
- 解体・処分費
それぞれの費用の詳細について解説します。
印紙税
印紙税は、契約書や領収書などの契約文章に対して発生する国税です。空き家の売却に関しては、買主と交わす売買契約書に対して課税されます。印紙税は売買契約書に記載される売買金額により、納税額が決まります。
登録免許税
登録免許税は、不動産登記する際に発生する国税です。
売却する空き家に住宅ローンが残っている場合は、抵当権が設定されています。「抵当権」とは、住宅ローンを融資している金融機関が万が一返済が滞ったときに備えて担保とすることです。抵当権が設定された不動産は、いつ抵当権が行使されるかわからないため買い手を見つけることができません。そのため売却に関しては、住宅ローンを一括返済して抵当権を抹消する必要があります。
譲渡所得税
空き家を売却して利益である譲渡所得が出た場合は、譲渡所得税(譲渡所得に対してかかる所得税、住民税、復興特別所得税の総称)が発生します。
また売却するのが相続した空き家であれば、所有期間は被相続人の所有期間を引き継げます。さらに譲渡所得が出た場合も、一定の条件を満たすことで譲渡所得の控除を受けられる可能性があるので必ずチェックするようにしましょう。
仲介手数料
不動産会社に買主を見つけてもらう「仲介」による売却をした際、不動産会社には成功報酬である仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は税抜きの売却金額に対してかかり、宅地建物取引業法で上限額が決まってきます。
空き家の売却は手間と時間がかかるわりに低価格での取引になることが多く、不動産会社が取り扱いに対して消極的になるケースが少なくないようです。不動産会社から相談を受けたときには、売却の見込み額なども考慮して検討する必要があります。
解体・処分費
空き家を取り壊して更地にして売却する場合には、解体費用やその他処分費などが発生します。30坪の木造住宅で120万~180万円程度が相場とされていますが、建物の構造や大きさ、また空き家のある地域によっても異なるためあらかじめ業者に確認しておきましょう。
補足
空き家は所有しているだけでもコストがかかり続けてしまいます。今後住む予定がない場合は、できる限り早めに家を手放すことをおすすめします。
とはいえ、空き家の売却は物件の状態によってどのような方法で売却するかを考える必要があります。売却に成功したい場合は、空き家売却のノウハウと経験豊富なエージェントに依頼するのが近道でしょう。
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