不動産でも土地と建物では性質が大きく異なり、土地は劣化しませんが、建物は経年劣化があるので消費物と考えられています。そのため、どれくらい使えるかを決めた「耐用年数」という言葉があり、耐用年数が建物の価値を決める重要な要素となっています。
目次
鉄骨造の耐用年数には2種類の意味がある
耐用年数が指す意味には2つあります。
言葉通りに考えると、「構造が耐えられる年数」という意味になり、使用可能年数と捉えられます。
不動産では、実際に使用できる年数のほかに、税制上の定めとしての耐用年数もあるため、この違いを知っておく必要があります。
耐用年数:建物の寿命
建物の寿命という意味での耐用年数は建物のメンテナンス状況や立地によって大きく異なります。
適切な維持管理ができていれば寿命が長く、管理ができていないと寿命は短くなる傾向にあります。
鉄骨造も鉄筋コンクリート造も適切なメンテナンスができていれば50年~60年以上維持できるとも言われています。また、骨組みだけなら100年程度使えるということもあり、どれだけ手をかけ大事に使うかが寿命に反映されると言えます。これは他の構造でも同じです。
法定耐用年数:減価償却の期間
建物の寿命とは別に、税制上の定めとして設定されている耐用年数を法定耐用年数と呼びます。
法定耐用年数は減価償却をするための指標です。
法定耐用年数はあくまで減価償却年数を定めたもので、実際の建物の寿命には関係ありません。
法定耐用年数は構造ごとに違うだけでなく、同じ構造でも厚みによって異なるので注意しないといけません。
鉄骨の厚さ | 法定耐用年数 |
3mm以下 | 19年 |
3mm越 4mm以下 | 27年 |
4mm越 | 34年 |
鉄骨造以外の構造の法定耐用年数
構造 | 法定年数 |
木造モルタル造 | 20年 |
木造・合成樹脂造 | 22年 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
法定耐用年数により減価償却を計算
耐用年数は戸建て住宅や、アパート、マンション、店舗、事務所などに設定されています。
主に減価償却を行う場面で法定耐用年数が関係してきます。
建物などの固定資産は金額が大きいので、購入年に一括して費用を計上するのではなく、法定耐用年数に応じて年度ごとに減価償却で分割して費用計上していく考えで、節税対策や事業の会計処理などに用いられます。
できるだけ法定耐用年数が長い物件の方が、節税効果が高いということになります。
建物の法定年数と取得費がわかれば、減価償却の計算ができます。
正しく経費にするために、減価償却の計算方法を知っておくことも大切です。
築年数が経ち法定耐用年数の一部を経過している場合
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
[/st-mybox]
減価償却費は「取得費×償却費」で算出できます。
※償却率は国税庁の減価償却資産の償却率表で調べます。
※土地は減価償却できません。
法定耐用年数を超過している場合
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
法定耐用年数×20%
[/st-mybox]
耐用年数を超えた場合の問題点
法定耐用年数が住宅ローンの融資可否に影響する可能性があります。
不動産を購入する時は、ほとんどの人が住宅ローンを利用しますが、ローンを利用できるかどうかは金融機関が審査を行うので法定耐用年数をローンの審査基準の一つとして不動産の担保価値を測ります。
法定耐用年数を超えている不動産は資産価値が見出せず、審査に通りにくい傾向にあります。
また、審査に通っても返済期間が短いローンしか組めない場合があるなど、不利な状況が発生する可能性があります。
金融機関によって審査基準が異なるため断言はできませんが、一般的には住宅ローンを組む際には、金融機関がその物件を担保として融資を行うのでその不動産の担保価値がどれほどのものかが重要になります。
特に中古物件の場合は耐用年数も短くなってる可能性が高いため、その物件にどのくらいの耐用年数が残っているかも確認しておくといいと思います。